初天神
黒門亭は落語協会所属の芸人たちで運営しております。したがって毎月の顔付けも黒門亭委員会に属する若手二つ目からベテラン真打まで月に一度寄り集まって相談の上決めているのです。
会議が終わって表に出ると大変良い天気。黒門亭委員会の某師匠にお茶を誘われました。もう1人後輩二つ目も合流し三人でさくら水産の前の信号まで来ると
「いつもコーヒーって言うのも飽きるよね。何か変わった遊び無い?」
「どんな感じのですか?」
「ウーーン。だから、ゲーセンとか行ってもありきたりじゃない?たまにはもぐら叩きとかさぁ」
「!☆ありますよ師匠!!」
「どこ?」
「あそこです」
指差す方に上野御徒町のシンボル、上野松坂屋が。
「屋上にチビッコ遊園地があってそういうのいっぱいあるの見ました」
「ヨシッ!行こう!!」
予定は変更です。
胸高鳴らせエレベーターで屋上に着くとまだ世間は平日モードなのか人もまばら。早速1000円をメダルに変えて我々に分け与えて下さる師匠。1000円で130枚は太っ腹!さすがお子様商売。欲が無い!辺りを見回せばそこに馬の代わりにアヒルが猛然と駈けずり回り優劣を決するレースゲームが!向こうの壁面にはオッズが表示され手元には馬単馬連ならぬアヒル単アヒル連のボタン。適当にベットししばしレースを楽しむ。的中しなくても何となくアヒルだと憎めないねぇ。訓練とかしなさそうだもんな。アヒルの調教とかね。相手がお子様とは言え思うようには走らないアヒル達。さりげなくギャンブルの厳しさ虚しさを教えている様でありました。ガーガー。

アヒルも飽きたので次の遊び相手を探してみるとルーレットが有るじゃーありませんか。
ところがこのルーレットが曲者で球の回りが遅いのも然る事ながら、ルーレットの目を良ーーっく見てみると所々『ハズレ』と書いてあります。意味が分かりません。50倍に来ようが2倍で止まろうが、ルーレットは掛ける場所によって必ず当る人は出て来る訳ですね。ところが『ハズレ』は全倍率にベットしようが当る人が出ないのです。当選確率0。酷いですねぇ。でもきっとそんな事が分からずに毎週日曜日の昼下がりにお買い物の序でにパパに連れられて屋上へ立ち寄った子供達は一生懸命このルーレットに勤しんでいるのでしょう。ああ、ルーレットはさり気無く大人の汚さ狡さを教えてくれているようでした。

私があまりの理不尽さに震える拳を握り締め憤懣やる方無い気持ちで嗚咽を漏らしていると、じゃんけんゲームに興じている後輩のK君が嬉々として「兄さん、このゲームに勝つ法則が見つけました」と喜んでいます。覗き見ると膝には今までの戦績を記したノートが。研究熱心なのね。
「あのですね、このゲームパーの率が高いんですよ。それで三回パーであいこになったら次はチョキを出してくるのでこっちがグーを出せば結構良い確率で勝てますよ!ほら、また勝ちました」
全て子供向きに機械が出来ているので屈まないと遊べません。それでも僅かに居る子供達を押しのけその子達とは比べ物にならない圧倒的な経済力の差で優雅にメダルゲームに耽る大の大人3人。本当に羞恥心が無いって素晴らしい。
「K君は本当に無邪気だねっ♪」
お判りになる方だけで結構です。











































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