先週の神田の打ち合わせはここに繋がります。
実は銭湯や地下鉄の駅などに置いてある『1010』と言うフリーペーパーがあるのですが、編集者の方が偶然何かの切欠でパンチラインをご覧になったそうで、ぜひ1010に載せたいのでインタビューを!と言う運びになりまして今日ポレポレ坐のカフェで一時間半ばかり銭湯と落語についてお喋りを致しました。
その後いつもチラシを置かせて頂いているアクア東中野さんの前で写真撮影を。4/10辺りに世間に出回るそうですので皆様是非ご一読下さい。喋り過ぎてどこを使われるのか分かりませんが今から楽しみです。因みに4ページ程割いて下さるそうですよ。
そのインタビュー中に盛り上がった銭湯話、私の好みは熱いお湯なのですがどこの銭湯が熱いかという話題になった時、その銭湯好きの編集の方が仰るには田町にある 『万才湯』 ここが東京一だろうと、兎に角熱い、腕一本じっと浸かれるものじゃないというお話を伺って、
・・・ウーーーム、万才湯ねぇ・・・。
こりゃあ熱湯好きとしては一度訪れなければ成るまい、と固く心に誓ったのでありました。
インタビューを終えポレポレ坐を出たのが四時頃、そのまま家に帰るのも何だかなぁと思ったその時、頭に浮かんだのはかの万才湯。丁度良いや、確かめに行くかと決戦の時は図らずも直ぐに訪れたのであります。

JR田町駅を降りて第一京浜を渡り、飲み屋が軒を連ねる細い通りをうねうねと歩いて行くと小さなビルの一階にその銭湯はありました。気を引き締めて、
「頼もうーーーーっ」
と声に出さずにそーっと木戸を開けると、カウンターに親父さんがテレビを見ながら座っていて、ひたすら袋に手を突っ込んではおかきを貪っておりました。
そのあまりの堂々とした食べっぷりに気圧された私は
「すいません、スタンプ下さい」
と、気弱そうに例のお遍路のスタンプ帖を開いて出すと親父さんは、黙ってスタンプ台と万才湯と刻まれたゴム印を私に突き出しました。まぁ日本語的に間違いじゃないけどね、先制パンチ、むむむ、手強い・・・。油断は出来ません。だがしかし31軒目になるここの判を押す私の手元を親父さんが3回チラ見したのを私は見逃しませんでした。一応意識はしているようです。

中に入いると小ぢんまりとはしておりますが清潔でしかもロッカーの大きい脱衣場。好感触です。浴場に入ると浴槽が三つに分かれていて薬湯と普通のお湯とそして熱い湯。まずは身体を軽く流し噂の熱い湯へと歩みを進めます。いよいよ決戦かと浴槽の前で一呼吸置いていると、隣の普通のお湯に肩まで浸かっていたオジサンが無言で
「オヤッ?アンちゃん入れるのかいっ?」
と言うような目でニヤつきながら私の事を見上げているじゃあありませんか!舐められちゃいかんとそーっと爪先からお湯に潜らせると・・・ナルホド、動きが止まりますねこりゃ。久々に手応えのある相手と巡り合えました。「遅いっ!遅いぞ武蔵!!」的な、ね?分かり辛いですか?
しばらくは縁に腰掛けて太腿までを熱さに慣らし、頃合を見計らってエエイヤーッ!と気を入れてゆっくりと沈むように入ってゆくと思いも因らない罠が!なんと熱めの浴槽が他の銭湯より格段に深く出来ているのです!よくある銭湯の深い浴槽は中腰位で頭が出るのですがここは軽く膝を曲げるほどでないと辛い、その上噂通りの熱湯!まさにお湯が喰い付くと言いますか突き刺すような感覚。じっとしていれば何とか凌げますがお湯が動くとどうにもなりません。ムムムムム、おかきなんか食べて油断をさせておいて手強い家です。
暫く我慢の時が続き上がって暫し休憩。私はいつも出たり入ったりを三回位するのが好きで、のぼせてくると洗い場に戻って腰掛で暫くじっとして息を整えまたは入るといった動作を繰り返すのですが何となく気配で「余所者の癖にやるじゃねぇか」的な視線を感じたので、何とは無しに目を遣ると視界の端に同じく熱いお湯に挑戦するジモティーの姿を私は見逃しませんでした。そのおじさんは両足までは入ったのですが直ぐに動きが止まり、暫く考えてやがて諦めたのかダバダバと蛇口から大量の水を注ぎ始めました。
「ジモティー、敗れたり・・・。」
気付かないフリをしてあげ、その後数回出入りを繰り返している内に、今度はそのおじさんの敵討ちとばかりに他に空いているにも拘らず隣のカランに座る別のオジサンが現れました。毎日の様に通う常連さんには自分のお気に入りのカランが決まっていて、そこを誰かが使うのを嫌がると聞いた事があります。だから一刻も早くそこが空くようにわざと隣に座りジワジワト無言のプレッシャーを掛ける、これを私は 『カランの幅寄せ』 と呼んでいます。あまりの私の勇敢な入りっぷりに男湯全体に包囲網が布かれる所でしたが幸いにも出る寸前だったので、後片付けし腰を浮かすと同時にこのおじさんは座ったまま椅子ごと私の使っていたカランの方に移動して来ました。
「熱い方入ってから幅寄せろや!」
等と啖呵を切るような騒動も起こす事無く穏やかに穏やかにその場を去ったのでありました。

ご覧下さいこの肩の汗。新陳代謝フル回転でございます。
皆様 「そんな熱い風呂があるかーい!」 とお思いでしたら一度訪れると良いと思いますよ、本当に。ここのお湯が熱いのはおかきの親父さんの趣味だとも聞いております。熱いお湯好きのあたしだってシャレにならない熱さですから。

“まんざい”と闘った“落語家”
強敵でした。

男と生まれたからには飲み屋がずらーっと並んでいれば入らない訳には行きません。湯上りに軽く一杯だけ。

今日の肴は鯖。青魚好きなんです。

生き物なのにね、こんなにギラギラしてるなんてナゼなんでしょう?

ほろ良い加減で帰途。
お陰様で今日もご機嫌☆
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